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認知運動療法は、イタリアの神経科学者Carlo C Perfetti教授により提唱された認知論に基づく運動療法です。 その目的は、脳機能の再組織化からの運動機能の回復であり、運動の認知スキーマを再構築することです。
認知理論は、運動機能回復が脳の「認知過程(知覚、注意、記憶、判断、言語)」の活性化に関連するとされており、障害を受けた患者の回復の質を考えるとき、これらが正しく実現されたのかに関わってきます。
脳の認知過程は運動プランやプログラミングにかかわっており、「運動機能回復は筋力増強や反射の促通−抑制という治療介入ではなく、学習基盤である認知過程への治療介入により達成される」と解釈されます。つまり、動作や行為を反復することではなく、動作や行為の構築のために中枢神経系の準備状態をつくることです。
ベーシックコースは年に5〜6会開催され、認知運動療法の勉強をこれから始めようとするセラピストを対象としたコースです。ベーシックコースの主な内容は認知運動療法の基本概念や臨床実践をテーマに講義や実技が行なわれます。ベーシックコースは認知神経リハビリテーション学会の会員でなくても受講可能です。
アドバンスコースは年に1〜2回イタリアから講師を招いて開催されます。
マスターコースは年に1回、イタリアのサントルソにある認知神経リハビリテーションセンターで開催されるコースです。Perfetti教授の講義を中心に最新のコースプログラムが組み立てられています。
アドバンスコース、マスターコースの受講は認知神経リハビリテーション学会の会員であることが条件となります。また、アドバンスコースの受講はベーシックコースを受講していることが条件となり、マスターコースの受講はアドバンスコースを受講していることが条件となります。各コースのご案内は学会ホームページに掲載されます。
認知神経リハビリテーション学会では、各地にて3段階の難易度を設定した講習会を開催しています。
また、認知運動療法学術集会の開催(年1回)、学術誌「認知運動療法研究」の発行(年1回)、認知運動療法通信「Temi」の発行(年2回)を行っています。
認知運動療法が提唱された1970年代以降、脳科学、脳神経科学、認知科学、認知心理学、神経生理学などの知見を取り入れながら中枢神経系疾患(片麻痺)に対する運動療法を展開してきました。その後、1980年代には脳性麻痺や整形外科系疾患に応用され、1990年代には高次脳機能障害(半側空間無視・失行症)や失調症へと臨床展開が拡大してきました。